朝日岳から見た群馬の山々 | 2024年11月
未来への自然が、私たちの誇りとなるように。
私たちは2025年より、山々の美しい自然を未来に遺し、
美観の保全に繋がるよう映像制作に取り組んでいます。
登山やハイキングを通じ、四季折々に美しく変容する風景、
また足元を儚げに広がる草花を、大型センサーを搭載した機器により
4K撮影することで、階調豊かで解像度の高い動画として収めています。
これらの映像を通じて自然を大切にする意識を高め、広めることに貢献したいと考えています。
情報の消費ではなく、感覚の浸透を。
山川草木の奥深さに入り込み、その存在を感じ、静かな美しさを受け入れることを目指しています。
映像作品は以下のリンクよりご覧いただけます。
#6 水沢観音 水沢山の晩冬 | ヤマガラが導く祈りの道 | 樹木に宿る生命の瞬き
撮影日: 2025年3月上旬
撮影地: 水沢観音 水沢山
<水沢観音 水沢山>
水沢山は、群馬県渋川市に位置する標高1,194mの山。
榛名山群の東端にあたり、古くから霊山として人々の信仰を集めてきた。
その麓には、創建から1300年を数える水沢観世音が佇み、北側には石段街で知られる伊香保温泉が控える。六角堂を中心とした境内は、巡礼の地として今なお国内外からの参拝者が後を絶たない。
歩みには確かな覚悟が求められる登山道の傾斜は厳しく、かつてから修練の道として開かれてきた。我執を燃やし無我が傍に漂うようなその山路には、自らと向き合うように登る人々の姿が日々散見される。
五合目付近、”お休み石” を中心に野鳥のヤマガラが姿を現す。可憐なその存在は張り詰めた心と体に安らぎを与え、頂へ向かう歩みにやさしさを添えてくれる。
苔むした岩と杉の並木、白雪に包まれた森のざわめき。 その中に響く足音と鐘の音が、風景と織り重なっていく。
「たのみくる 心も清き 水沢の 深き願いを うるぞうれしき」
清らかな水が願いを運ぶように、水沢山を登る足取りは心を洗い、 明日へと向かう活力を授けてくれる。(御詠歌 現代語訳)
#5 黒斑山と蛇骨岳の厳冬 | 虹と雲海、ダイヤモンドダストが響き合う
撮影日: 2025年2月下旬
撮影地: 黒斑山 蛇骨岳
<黒斑山 蛇骨岳>
黒斑山(くろふやま)は、長野県小諸市と群馬県嬬恋村に跨る、標高2,404mの山。
蛇骨岳(じゃこつだけ)は、標高2,366m、黒斑山から稜線を辿る先にあり、火口原・湯の平を眼下に望む。 Google Mapでみる 浅間山の第一外輪山としてそびえる黒斑山は、幾度もの噴火によって形作られた壮大な景観を見下ろす場所。
蛇骨岳の名は、山肌を這う蛇の骨格のような黒い岩の模様に由来する。
火山の猛威が生み出したこの地形は、噴火の記憶を刻み続ける証。 歩みを進めるごとに、荒涼とした風景の先にそびえる浅間山の姿が圧倒的な存在感を放つ。
長い年月をかけて風雪と火山活動が刻んだ無数の縦筋。 その山肌は、激しい自然の営みを静かに物語る。 悠久の時を見守るかのように、山々は今日もそこに佇み続ける。
-15℃にも達する厳冬期、冷気が創り出す氷の世界。 雪と風が織りなす純白の峰々は、冬の静寂とともにその神秘を深める。 峰を越え、静寂の中に佇むひととき。 浅間の歴史を刻む大地、その鼓動を感じながら。
撮影日: 2025年2月上旬
撮影地: 榛名山 船尾滝
<船尾滝>
船尾滝(ふなおたき)は、群馬県の榛名山系・相馬山の麓にひっそりと佇む名瀑。
深い森に包まれたこの滝は、落差72mの断崖を一気に流れ落ち、その水勢は轟音とともに谷を満たす。
この地はかつて神々の宮、神聖な領域とされ、長らく人の立ち入りが許されてこなかった歴史を持つ。
「人が立ち入ることを許されず」、いつの頃からか “不入(ふにゅう)” が “船尾(ふなお)” へと転じたと伝えられる。 古くからの信仰と伝承が息づくこの場所は、時を超えて今も厳かな空気を纏っている。
2019年(令和元年)の台風災害により、滝周辺の崖地が崩落し、一部立ち入りが制限されている。
そのため滝壺に近づくことはできないものの、そこから流れ出す清流には繊細な氷の結晶が生まれ、厳寒の中でしか見られない儚くも美しい造形は、滝の荒々しさとは対照的に静謐な輝きを放っている。
船尾滝は今も変わらず悠然とその姿を湛え、山の奥深くに清澄な流れを響かせている。
森に抱かれた幽邃(ゆうすい)の滝。その静寂と轟音の狭間に、時の流れを忘れるひとときを。
#3 赤城 鍋割山の凛冬 | 晴天と白銀の稜線
撮影日: 2025年2月上旬
撮影地: 赤城山 鍋割山
<鍋割山>
鍋割山(なべわりやま)は、群馬県の赤城山系に属する標高1,332mの山。
広大なカルデラを持つ赤城山の一角に位置し、開放感あるパノラマが楽しめる展望の良さが魅力。 登山ルートは複数あるが、特に荒山高原を経由するルートは、新緑・紅葉・霧氷など四季折々の景観が楽しめることで人気を集める。 稜線はなだらかで、山頂へ向かうにつれ心地よい風が吹き抜け、登山の疲れを癒してくれる。山頂に到達すると前橋や高崎の街並み、さらに遠くの浅間山や富士山まで望むことができる。
また、鍋割山の登山道には酸実(ズミ)の群生地が点在している。ズミ(Malus sieboldii)はバラ科の落葉高木で、春には白や淡いピンクの花を咲かせ、秋には小さな赤い実をつけ鮮やかに彩りを添える。 昔から酸味の強さから「酸実」と呼ばれ、鳥たちの貴重な食糧源にもなっている。このズミの赤い実が、紅葉とともに山の風景を美しく染める姿は、鍋割山ならではの風物詩。
冬には霧氷が美しく、静寂に包まれた雪山の魅力を感じることができるが、積雪・凍結時の装備が求められる。比較的登りやすいながらも、本格的な登山気分を味わえる鍋割山は、四季を通じて多くの登山者を魅了する山である。
#2 赤城 荒山高原の白冬 | しんしんと降り積もる雪と神秘の樹林帯
撮影日: 2025年2月上旬
撮影地: 赤城山 荒山高原
<荒山高原>
荒山高原(あらやまこうげん)は、群馬県赤城山の南東部に位置する標高約1,300mの高原地帯。
荒山(1,572m)と鍋割山(1,332m)を結ぶ登山ルートの中継点となっている。広く開けた地形が特徴で、四方に視界が広がり、天候が良い日には遠方の山々を望むことができる。
春には雪解け水が潤す緑豊かな草原、夏には涼風と共に広がる青々とした風景、秋には黄金色に染まる紅葉、そして冬には一面の銀世界が訪れる人々を迎える。
荒山高原は赤城山周辺の登山ルートの中でも前橋市街地からアクセスがよく、整備された遊歩道やトレッキングルートは、初心者からファミリーハイク、熟練の登山者まで楽しめる裾野の広さが魅力のエリア。
しんしんと降る雪の中、樹林帯を抜けて高原へと向かう道。冬ならではの幻想的な景色を、静かな時間とともに。
#1 赤城 長七郎山の氷冬 | 凍てつく氷瀑と結氷した小沼
撮影日: 2025年1月中旬
撮影地: 赤城山 長七郎山
<長七郎山>
長七郎山(ちょうしちろうやま)は、赤城山のカルデラ内に位置する標高1,579mの山。
冬の訪れとともに、この山は静寂に包まれ、凍てつく湖面と氷瀑が織りなす幻想的な景色 が広がる。 緩やかな稜線と開放的な山頂が特徴的で、初心者にも親しみやすいルートとして知られる。登山道の先に広がる小沼は、冬には全面結氷し、湖上を歩くことができるほどの厚さとなることもある。
透明な氷に閉じ込められた無数の気泡・アイスバブル は、冬の冷気が生み出す自然の芸術。澄み切った氷の中に閉じ込められた気泡は、まるで時を止めたかのように静かに佇んでいる。
また、山の麓には「おとぎの森」を流れる粕川の源流があり、厳冬期にはその水流が凍りつき、氷瀑へと姿を変える。 青みがかった氷の層が幾重にも重なり、繊細な氷の造形が生み出されるその光景は、ただの寒さではなく冬という季節の深みを映し出し、訪れる人々を魅了する。
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