Camino de Santiago

スペイン巡礼 – Camino de Santiagoとは

スペイン巡礼(Camino de Santiago)とは、スペイン北西部ガリシア州にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩む旅路のこと。

サンティアゴはエルサレム、ローマと並びキリスト教の三大聖地のひとつとして数えられ、この巡礼路は中世より1000年以上続く深い歴史を持ち、敬虔な思いに導かれた人々により連綿と歩み継がれてきた。今なお現代でも、その精神性と文化的価値に惹かれ、信仰心や宗教観の有無を問わず世界各地から巡礼者が集いこの古の道を辿っている。なお、歩き始めの街が始点ではなく、「巡礼を行う」と心に決めてからが旅路の始まりである。

巡礼路は複数あり、巡礼者はそれぞれ異なる道を選ぶ。

中でも代名詞とも言えるのが「フランス人の道 – Camino Francés」。
出発地としては、フランス側のサン・ジャン・ピエ・ド・ポー(Saint-Jean-Pied-de-Port)や、巡礼証明書(コンポステラ)の発行条件を満たすサリア(Sarria)がよく選ばれる。サン・ジャン・ピエ・ド・ポーから歩く場合、距離はおよそ800km。1日20〜25kmのペースで歩くと、1か月以上かかる道のりとなる。

巡礼証明書を受け取るためには徒歩で100km以上という条件を満たせば良い為、短い区間・限られた日程でも巡礼は可能(サリアからは110km・ポルトガルの道トゥイからは115km)。近年では時間的制約のハードルから短期間での巡礼を行う人が増加している。

ただし、期間が限られているが故の難しさも伴い、スケジュールに柔軟性がなくビハインドが許されない分、より綿密な計画と調整が必要不可欠となる。


巡礼路の主要ルート


フランス人の道(Camino Francés)
最もポピュラーで代表的な巡礼路。序盤からピレネー山脈を越えてスペインへと辿っていく。
▶︎ サン・ジャン・ピエ・ド・ポーから約800km
▶︎ レオンから約320km
▶︎ サリアから約110km


北の道(Camino del Norte)
スペイン北部の海岸沿いを巡る、美しい海の景色と新鮮な海産物が魅力の風光明媚なルート。
▶︎ サン・セバスティアンから約850km
▶︎ ビリャビシオサから約350km


ポルトガルの道(Camino Portugués)
リスボンまたはポルトから北上。ポルトガルからスペインへの文化や風景の緩やかな移り変わりを楽しむことができる。ポルトから「沿岸ルート」と「内陸ルート」に分岐し、どちらかを選択することになる。
▶︎ リスボンから約620km または660km
▶︎ ポルトから約240km または約280km
▶︎ トゥイから約115km


イギリス人の道(Camino Ingles)
中世、海を越えてやってきた英国やアイルランドの巡礼者が歩いた道。北大西洋の海風を感じつつ、比較的短い距離で巡礼を終えることができる。
▶︎ フェロルから約110km
▶︎ ラ・コルーニャから約75km


銀の道(Vía de la Plata)
南部セビージャからローマ時代の道を北上する長距離ルート。セクションの長さやインフラの少なさなどから難易度が高い。
▶︎ セビージャから約1000km


● フィニステレの道(Camino a Finisterre
サンティアゴ巡礼の向こう側 —— かつて「世界の果て」と呼ばれた海の岬フィニステレを目指す、巡礼の余白をゆく道。

▶︎ サンティアゴから87km

✴︎ その他にも険しい山岳地帯を越える最古の巡礼路「原始の道」やフランス南部から始まる「ル・ピュイの道」など多岐に渡り道は存在する。


クレデンシャル(巡礼手帳)

巡礼の旅路においては、クレデンシャル(巡礼手帳)の携帯が求められる。これは巡礼者の身分を証明するものであり適宜必要となる。宿泊所(アルベルゲ)やバル、教会などに設置されているスタンプを押印することによって、道中を歩いた軌跡を記録していく。

このスタンプの蓄積が、巡礼者としてその道を辿った証明となり、終着地サンティアゴ・デ・コンポステーラにて巡礼証明書(コンポステラ)を受け取るための条件となる。

 

 


道しるべ

カミーノ・デ・サンティアゴの巡礼路には、巡礼者が迷わず進めるように様々な道しるべが設置されている。

代表的なものに、壁や地面に描かれた「黄色い矢印」、そして巡礼のシンボルである「帆立貝」がある。また、石やコンクリート、木材によりつくられた柱「モホンmojón」も古くから巡礼者の指標として使われている。

これらの印と手持ちの地図を併用しつつ、巡礼者はサンティアゴへと歩みを進めることができる。

 

 


巡礼者の宿泊・食事

巡礼者の宿泊にはさまざまな選択肢があり、なかでも「アルベルゲ(Albergue)」と呼ばれる巡礼者専用の宿は1泊5〜15ユーロ程度の低価格で提供されており、多くの巡礼者に利用されている。

ただし、相部屋が基本であり、設備や快適さには限りがある。
巡礼者はアルベルゲに必ず泊まらなければならないわけではなく、個々に応じてホテルやペンシオン(個室・バストイレ共用)、民宿などを選ぶことも可能。

体調・疲労感や予算、旅のスタイルに合わせて、柔軟に宿泊形態を選ぶことができる。

また、アルベルゲやバルでは「巡礼者メニュー(Menú del Peregrino)」と呼ばれる特別な食事メニューが提供されている。

これは、前菜・メイン・デザート(またはコーヒー)・ワイン(または水)が含まれ、10〜13ユーロ程度で楽しめる、巡礼者向けのリーズナブルな食事である。

料理は素朴・簡素でありながら地域ごとに特色があり、地元の食材や郷土料理に触れる貴重な機会でもある。
長い道のりを歩いた後の一皿は格別の味わいとなり、明日への大きな活力となる。

 

巡礼路沿いにはバルが必ずと言っていいほど点在しており、休憩や補給の場として多くの巡礼者に利用されている。
パン・コン・トマテやトルティージャ(スペイン風オムレツ)などのタパス
は手軽で栄養価も高く、巡礼の合間のカロリー補給として最適な役割を担っている。

道に寄り添う路傍のバルで束の間の安らぎを得て、巡礼者は再び歩みを進めることができる。

 


装備品・持ち物

装備品・持ち物についてはこちらのページでご覧いただくことができます。

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