#4 榛名山 船尾滝の悠冬

#4 榛名山 船尾滝の悠冬 | 宝石が眠る禁じられた地

撮影日: 2025年2月上旬
撮影地: 榛名山 船尾滝

 

<船尾滝>
船尾滝(ふなおたき)は、群馬県の榛名山系・相馬山の麓にひっそりと佇む名瀑。

深い森に包まれたこの滝は、落差72mの断崖を一気に流れ落ち、その水勢は轟音とともに谷を満たす。

この地はかつて神々の宮、神聖な領域とされ、長らく人の立ち入りが許されてこなかった歴史を持つ。

「人が立ち入ることを許されず」、いつの頃からか “不入(ふにゅう)” が “船尾(ふなお)” へと転じたと伝えられる。 古くからの信仰と伝承が息づくこの場所は、時を超えて今も厳かな空気を纏っている。

2019年(令和元年)の台風災害により、滝周辺の崖地が崩落し、一部立ち入りが制限されている。
そのため滝壺に近づくことはできないものの、そこから流れ出す清流には繊細な氷の結晶が生まれ、厳寒の中でしか見られない儚くも美しい造形は、滝の荒々しさとは対照的に静謐な輝きを放っている。

船尾滝は今も変わらず悠然とその姿を湛え、山の奥深くに清澄な流れを響かせている。
森に抱かれた幽邃(ゆうすい)の滝。その静寂と轟音の狭間に、時の流れを忘れるひとときを。

 

 

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